2006年06月05日

たとえば、それは。ある、光。の声。 ある、光。

たとえて言えば闇の中に光る金色の。
いいえてみれば光の中を走る一陣の闇。
ソレは誰のモノでもない「光」だった。

明るく目映いほどの光と正反対の。
光の中に影を落とす闇。

闇は光なのだろうか。
違うと人は言うだろう。
そう多くの人はそう言うだろうし。
ソレが間違いだと指摘するだろう。

それでも
暗闇にある光ぽつりと。あるその光に惹かれるように、
光の中にある闇も又ヒトを引きつけて止まないのだ。



引きつけて止まない「光。」
その光が欲しいと思ったのだ。





暗闇が揺れる光の中で。
ぽつりとそう言った気がした。
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2005年05月30日

悪魔談笑。

闇の眷属。
「悪魔とは、デーモンとはそう言うモノなのだよ。」
闇の中で揺らめく影が、グラスに入った赤い深紅の液体を飲み干してそう言った。

「闇の中で生き闇の中で生まれ死ぬ、嗚呼ヒトの、人間の言う死ぬという概念とは違うかもしれないがね。」
「ダカラ悪魔というのは滑稽で崇高で雄々しきモノのハズなのだよ。
 しかしあれは、ね。」
笑い声混じりで影はそう言った。
生まれ、置き去りにしてきたた青い髪の悪魔をおもいだしてさもおかしそうに。

「アレは失敗作、なのかね。」
「さぁどうだろう。」
「アレはなんなのだろうね。」
「悪魔と言うには。」
一つしかないと思われていた影は数はいつの間にかいくつもにも増えそう言い合った。

「アレを手放して良かったのかね。」
「持っていたとしてもアレはなんの役にも立たぬよ。」
「しかし、興味は引かれただろう?。」

「いやいやそれよりも、ナンというのかなこの感情、コレは。」

ソノ感情を感じ意識するのは悪魔達は初めてだったのかもシレナイ、いや寧ろ記憶のカナタに放り出し気が付かない振りをしていたのか。
けして相容れぬ血族の蒼に向かう感情の名。
恐怖に侮蔑に良く似た羨望、照らし出され追い立てられそうな圧迫感から感じるわき上がる感情。

蒼に侵されていく、手に入らぬ光の色。
体を蝕みブスブスと燻らせる天の色。
その色に混じり黒い赤い色が、色に浸食していくことが。
地の底の闇の色に侵されていくことが。


「、、、、怖いのかも知れない、ねぇ。」

欲しくて欲しくて其の手を伸ばし届かぬ事に気が付いてしまうことに。
元を辿れば等しく近い、なのにあまりにも遠い場所を思う自分に気が付くことに。

そう言って闇が笑いあった。


天の色と闇の色の悪魔のことを、知らない場所で影が笑いながらそう言った。

誰も知らない、知ろうとしないその答えを、
影だけが本当を事を知っている。
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2005年05月21日

世界は0から始まった。

悪魔が生まれるのは闇の中だ、と言っても闇の中でナニモナイ所から形成されたわけではない。

悪魔といえども父と母は存在した。
父は闇を司りヒトの叫びや苦しみを心地良い音楽と言い高らかに詠い、母も又闇にその命を受け軽やかに横たわる人々の上を舞いその命を吸った。
闇に祝福され寄生し飲み込まれるように生き、そしてその闇すらヲ掌握する闇。
ソレが悪魔(デーモン)として生まれたキーシェのルーツだった。ヒトの言葉を借りるとすればそれらが「親」だったのかもしれない。



闇の深さは己の力の具現、闇が深ければ深いほど悪魔の力は深く強く強大だった。己の命の欠片と肉の一部ソレを混ぜ生み出した闇の子ら。
その子供の力が深いほど悪魔は己の力の強大さに打ち震えた。

「アア、ナントワタシハ、ツヨク、フカク、クライ」

闇の中、男の深い声と女の高らかな声がない交ぜになったような声が闇に渦巻いた。声だけではなく其処には漆黒の翼と闇色の深い闇の眼を持った男と血の色を模したかのような燃えさかる紅蓮の炎のような赤を纏った女が存在した。
その姿は悪魔の記憶の底にこびりつき、ゆっくりと浸透するかのように言葉と色が交わり滲む。

(ソウ覚えている。
 声を、言葉を。)

闇の中で産声が聞こえる。赤子の高く鮮明なこえが、闇の中に響き渦巻き辺りにこだました。
「ナントイウコトダ」
「ナントイウコトデショウ」
「ナニカガマジッタニチガイナイ」
「ナニカガハンノウシハンパツシアッタノダワ」
闇の中に浮かぶ空色の固まり、ソノ色の中心にいたのは生まれたての、存在したての悪魔だった。闇の中では見る事のない見れるはずのない「色」ソレは驚愕と恐怖と落胆の息を落とさせた。

いたわるでもなく恐れるでもなく、嘲るかのようにさえ聞こえる声がその色を持って生まれた赤子に投げかけられる。
「ナントイウコトダ」
「ナントイウコトデショウ」
「コレガアクマダトイウノカ」
「コレガヤミダトイウノカ」
辺りを奮わせ闇がかき乱れたあと。
それから二人の悪魔は赤子から離れていった、まるで照らされるのを恐れるかのように。


ぽつんとその色は光るわけでの無く其処にあるまま、鳴き声が一際大きくなった。
其処にいた二人の悪魔が居なくなり、元あった闇がますます暗くなったためか。ソレともお腹を空かせたのか。ソンな赤子の周りでどこからか滲み出たより黒い闇が渦巻き、蜻蛉のように立ちこめた。
残された赤子を闇があやすように揺らす、その揺らす闇の手は先ほどよりも濃く暗く落ちて行く。
闇ヲ持たない悪魔(赤子)の傍で闇はより濃い闇と影を落とした。ソレはキット闇にとっては心地良かったに違いない。
闇はするりと赤子の手に巻き付き染みこんでいく、辺りの闇が引き寄せられるように蠢きまるで飲み込まれるように闇はずるずると引き込まれ、より濃く深く染まっていった。

ソレに気がつく者には其処には居ない。


母親の甘いミルクはない、ダカラ悪魔は闇を舐めた。
何者の手も借りず悪魔は闇を食し闇を飲み闇を形成し己の体を形取った。
そして欲した、手に入らない見た事のない「命」を、ソレが自分の糧に、欠片になると言う事を知らず知らずに本能的に求め始めながら。
ずるりぺたりと誰の手も借りずに赤子は其処から這いだす。
己と同じ色を欲してゆっくりと確実に。

闇の中蠢く二対の羽根の羽音が響く。




悪魔は悪魔、色姿が変われども。
だけれど悪魔は悪魔であると知りながら悪魔が何かを知らない。
誰もソレを教えなかったから。
笑うことも泣くことも、誰もソレを教えなかったから。
笑うことも泣くことも知らないまま悪魔は其処に存在し始めた。


世界は0から始まった。

知っているのは飲み込まれ腕に巻き付いた黒い跡、濃い闇。

世界は0から始まった。

世界は0から始まった。

悪魔の世界は0から始まった。
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